図鑑の中に暮らす

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すれ違いざま白檀の香りして
 父の戒名かつて覚えず

釣り人に「釣れますか?」と尋ねたり
暇潰しだと釣り人言へり

シャッターを押し足早に駆けてくる
息遣いまで写りそうだよ

梅雨冷えの都会の森の向こうから
野球部の声幽かに聞こゆ

はじまったばかりで梅雨の中休み
瓢箪池の主も休めり

便宜上そう呼んでいる名を以て
図鑑の中に暮らすぼくらは

緑陰に本を持ち込み
草笛を吹いて飽きたらまどろむばかり

不機嫌でいるのは僕のせいなのか
口笛吹いて夕焼けも見ず

靴底に穴が空いてる訳でなく
 どこから小石入るのだろう

パンプスの小石とるため僕の肩
あるといっても過言ではない