「短歌の目」8月みなさまの作品感想(その2)

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その1より淡々とつづく)

 その1にも、2にもその3にも共通することですが、みなさまの歌を転載するにあたって、ルビや全角半角の空きにはいちおう注意を払っているつもりですが、すでに注意が足りなかった部分も見つかっています。その分は申し訳ないですがこのままいきますが、苦情があればすみやかに訂正します。先に謝っておきますね。ごめんなさい。


それとこれも1、2、3共通ですが、感想コメントの長短は全然気にしないでください。選んだ歌によって文句のつけようがないときや、つい何かを補足したくなる歌などあって、コメントの長さはまったくの無意識ですので。総じて後にいくほど長くなる傾向があるかも。最初のうちはとにかく簡略を心がけているからね。

あと、他の方の感想もたくさん出ているようなので、それらと被ったり、あるいは歌の解釈がまるっきり異なったり、カスリもしなかったりで、そういう趣向もまた楽しんでいただけたらと思います。要するに、感想なんて言ったって、残念ながら(僕の場合)ほとんどはテクニカルなことよりも単なる好みの露呈ということなんですよね。(笑)

なお、最後のまとめ的な感想はその3で書く予定です。

 

tankanome.hateblo.jp

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なにか

ベランダで日焼けするのはやめましょう管理組合からのお願い

 全体的にリズム感いいですよね。標語みたいでも偶然短歌が出来ちゃったような「なにか」。ダイキンルームエアコンの歌とか。逆にリズムが滑りすぎるのに注意した方がいいのかなあなんて思いました(スイマセン生意気言って)。

 

ゆれるスカート

野良猫を追いかけ着いた古屋敷 ごめんください 風鈴の声

 とってもわかり易い歌で、かつ、物語性を感じます。怪談短歌でなくてもちょっとそういう風情は感じる。古屋敷と風鈴の声をつなぐ間の「ごめんください」のトーンの変調が効果的なんだと思いますよ。

 

妄想七号線

次々と出荷されゆく菊の香は祖父の納屋からあふれる匂い

 「菊の香」がほんのちょっぴり惜しい気もするけど、下七七の「祖父の納屋からあふれる匂い」に詩情を感じました。丹精込めてつくられた菊の花なんだよという想いが伝わってくる。

 

乳飲子を小脇に抱えて

桃ひとつするりと皮を剥ぐきみの肩口つかまえはぐ日焼けあと

 桃の皮と剥くのと日焼けあとの皮を剥ぐのと、言われてみると似ているかもしれない。上手くいけばつるりと剥けてダメだとすごく無残になるし。あと、まつりの歌も面白かったです。テンポがよくって。

 

このこつちのこ、虚構の子

熟れすぎたアボカドごろっところがって 廊下の先に冥き途くらきみちかな

廊下に熟れすぎたアボガドが「ごろっと」転がっている状況が、とってもシュールでいい。いろいろなドラマが想像できそう。その廊下の先が暗くなってるのもいいんだけど、「冥き途」はやや言いすぎかもね。
(追記)あとから読み返してみたら、廊下の先は「あちら側」の世界へつながっている、という意味なんですよね、これ。「冥き途」が言いすぎかも、なんて大変浅はかで失礼な読みをしてしまい本当に申し訳なかったです。恥ずかしい。

 

六月に雨が

カラカラと奪われていく夏の目に 茄子の色こそ くきやかに見ゆ

 「ジャワまた」もよかったですが、1首となるとこっちにしようかな。夏のカラカラに乾いた目には、茄子の青紫というか黒紫というか、あの艶々した光沢の色こそが確かに鮮やかに見えますよね。おいしそうだし。

 

ちょっとナオ帳

きっと来る ふるさと祭り 永遠に 同級生は 「あの子」のままで

 僕こういうのに弱いんだなあとあらためて思いましたよ。都会に出て行ったあの子はいつまでたっても「あの子」のままであってほしいと。でもだいたい変わっちゃってるんですよね。逆「木綿のハンカチーフ」(と言っても知らないかな)。

 

みかづきいろ(仮)

くきやかに青のカンバス縁取りて積乱雲の毛羽立っていく

 一読、まさに夏の風景そのものという感じの歌です。細田守監督のアニメ映画の絵を思い浮かべます。積乱雲が盛り上がっていくさまを「毛羽立っていく」と言ったのがいいですね。

 

id:rojand29 ブログのタイトルがないのかしら?(はてなidでコールしています)

くちづけの意味もわからず重ねあう稚児のごとくに生きられるなら

この歌はそのままの意味なんでしょうが、本当にそのとおりと共感する部分と、でも実際はそうはいかないし、そのままじゃやっぱりツマラナイよな、という複雑な気持ちが混在した歌なんだろうなあと思いました。

まわりみち(仮)

風鈴の短冊揺れる縁側を見上げていたい夏真っ盛り

作者は縁側に坐っているのではなくて、奥の畳の部屋から、縁側の風鈴の短冊越しに切り取られた夏の青い空を見上げている。無意識かもしれませんが、そういうちょっと二重構造的な夏を感じます。

 

片鱗カフェ

くきやかに点から円へ咲く花の音は半秒遅れて届く

 ふつうに考えたらこの花は花火のことでしょうねえ。でも僕は蓮の花でも面白いかなあと思いました。「音は半秒遅れて届く」の観察眼が素晴らしいです。もっとも蓮は実際には咲くとき音はしないそうですが。

 

 

(その3)につづく……予定ですよ

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